鈴の音
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2012年 11月号

<柿の話>
 秋も深まり、柿が色づく季節になりました。昔から、「柿が赤くなれば医者は青くなる」と言われています。これは、民間療法として整腸剤や風邪予防などに柿が用いられてきたからです。今回は柿について紹介します。


<柿の産地>
 柿の原産地は、中国の長江流域といわれています。奈良時代に日本に渡来し、最初は渋柿だけでしたが、鎌倉時代になると甘柿が出現し、その後日本各地で様々な品種が生まれました。江戸時代末期のペリー来航により、柿はアメリカに伝えられ、その後ヨーロッパまで広がりました。明治時代以降には、移民などにより南アメリカにまで栽培が広がっています。現在、日本では1000種類以上の品種があるといわれています。日本全国でみると、柿の栽培北限は東北地方の南部までで、北海道では寒さのため栽培されておりません。大まかには、暖かい地方では甘柿が、寒い地方では渋柿が主に栽培されています。

<柿の種類>
 柿には前述のように渋柿と甘柿があります。渋の正体は「タンニン」で、実だけでなく幹や葉にも含まれています。このタンニンには水溶性と脂溶性のものがあり、はじめは水溶性だったものが実の成長により脂溶性に変化します。この変化の度合いにより、甘かったり渋かったりします。水溶性のタンニンが多いままだと渋くて食べられません。そのため渋柿は、渋抜きをしたり干し柿にしたりして加工されます。詳しくみると次の4種類に分けられます。
  • 完全渋柿:種子の有無にかかわらず渋くなる柿。
  • 不完全渋柿:種子ができるとその周囲が甘くなるが、全体的には渋い柿。
  • 完全甘柿:種子の有無にかかわらず甘くなる柿。
  • 不完全甘柿:種子が多くできると甘くなる柿。


<柿の実の有効成分>
 民間療法で柿が利用されてきたのには、下記のような有効成分が豊富だからです。
  • ビタミンC:柿1個には110mg〜140mg含まれます。これは成人の1日の必要量100mgを上回ります。風邪予防や美肌効果があります。
  • クリプトキサンチン:腸で吸収されビタミンAに変化するプロビタミンAの1種です。柿1個に1mg以上含まれています。抗酸化作用があり、最近では癌や心臓病の予防やコレステロール値の低減に効果があると期待されています。
  • カリウム:柿1個に340mg〜400mg含まれます。利尿作用があり血圧を正常に保つ働きがあります。
その他、食物繊維も豊富で殺菌作用もあり、下痢止めや便秘の解消にも役立ちます。

<食べ過ぎにご注意>
 以上のように体に良い柿ですが、食べ過ぎには注意が必要です。それは、タンニンにより結石を生じることがあるからです。また、タンニンは鉄分の吸収を妨げるので、貧血気味の人はたくさん食べないほうがよいでしょう。上記のように、ビタミンCは1個で1日量がまかなえるので、食べるなら1日に1〜2個がよいとされています。