鈴の音
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2012年 12月号

<柑橘類と薬の相互作用>
 冬から春にかけて「温州みかん」をはじめとして、様々な柑橘類が旬を迎えます。柑橘類はビタミンCやミネラルが豊富で、食べたりお風呂に入れたりして、整腸や風邪予防に利用されて来ました。ところで、柑橘類の中には薬と相互作用のあるものがあります。「グレープフルーツ」と「血圧薬」が特に有名ですが、その他にも注意しなければならない品種があります。今回は、柑橘類と薬の相互作用についてまとめてみました。


<なぜ相互作用を起こすの?>
 柑橘類の果肉や皮には「フマノクマリン」という物質を含むものがあります。フマノクマリンは、薬を分解する酵素の働きを弱める作用があります。人の消化管には薬を分解する酵素があり、摂取された薬を消化管内で分解し、体内に薬が吸収される量を調節しています。フマノクマリンは、この酵素の働きの邪魔をするため、薬の消化管からの吸収量が増加してしまいます。そのため、予想していた以上に薬の作用が強くなり、副作用などが現れやすくなります。

<相互作用を起こす柑橘類は?>
 柑橘類のすべてがフマノクマリンを持っている訳ではありません。主にグレープフルーツから品種改良されたものに含まれているものが多いようです。日本の温州みかんはフマノクマリンを持っていないので相互作用の心配はありません。薬と相互作用のあるものと、相互作用のないものを表にまとめました。

薬と相互作用のある柑橘類
グレープフルーツ ザボン ハッサク 文旦 バンペイユ
金柑 ポンカン 夏みかん ダイダイ ライム

薬と相互作用のない柑橘類
温州みかん レモン デコポン カボス
バレンシアオレンジ マンダリンオレンジ ユズ 伊予柑

<相互作用を起こす薬は?>
 相互作用が問題になる薬には、血圧薬のカルシウム拮抗薬があります(ただし、すべてのカルシウム拮抗薬が相互作用を起こす訳ではありません)。代表的なものに、一般名のニフェジピンやニソルジピン、フェロジピンなどがあります。その他、抗高脂血症薬のアトルバスタチン、睡眠導入剤のトリアゾラム、免疫抑制剤のシクロスポリンなどが柑橘類と相互作用があることが判っています。

 柑橘類と薬の相互作用は1989年に発見されたもので、まだまだ不明な事がたくさんあります。個々の柑橘類のフマノクマリンの含有量は一定しておらず、また、人の消化管内の酵素の働きも個人差が大きいため、摂取する事ですべての人が重篤な副作用を発現する訳ではありません。
しかし、上記の薬を服用している方は、安全の為にも相互作用のある柑橘類を食べる事は避けた方がよいでしょう。