鈴の音
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2013年 4月号

<消化性潰瘍の治療薬>
 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ストレスの多い現代社会においてよく見られる疾患のひとつで、消化性潰瘍といわれます。胃からは、タンパク質を分解するペプシノーゲンが作られ、胃酸により活性化されて食べた肉などを消化します。一方、胃や十二指腸の粘膜は粘液でおおわれ、自ら消化されるのを防いでいます。これらのバランスが崩れた時、自らを消化してしまい、潰瘍が起こると考えられています。


<治療薬のねらい>
 消化性潰瘍の治療は、いかに攻撃因子(胃酸やペプシノーゲン)を弱めるか、防御因子(粘膜や粘液)を強めるかがポイントになります。

<胃酸分泌を抑える薬>
 胃酸は胃の粘膜にある壁細胞から分泌されます。壁細胞には、プロトンポンプといわれるポンプがあり、胃のなかに水素イオン(胃酸)を出し、かわりにカリウムイオンを取り入れています。プロトンポンプは、壁細胞にある受容体にヒスタミンや、アセチルコリン、ガストリンが結合することで、働きが活発になります。
 受容体にこれらの物質が結合するのを邪魔する働きをする薬が開発されています。それぞれ、「H2遮断薬」、「抗コリン薬」、「抗ガストリン薬」とよばれています。また、プロトンポンプの働きを直接抑制する薬として、「プロトンポンプ阻害薬」があります。

<制酸薬>
 分泌された胃酸を中和する薬が昔から広く民間薬として使われています。炭酸水素ナトリウム(重曹)や水酸化アルミニウムなどで、「制酸薬」とよばれます。ただし、これらの薬は他の薬と併用した場合、薬の吸収に影響することがあるので、注意が必要です。

<抗不安薬>
 消化性潰瘍の患者の60%以上は、何らかのストレスが関与していたという報告があるぐらい、消化性潰瘍はストレスと関係の深い病気です。そのため、ストレスを取り除くために「抗不安薬」が用いられることもよくあります。

<防御因子を強める薬>
 薬が潰瘍の底のタンパク質と結合し潰瘍を胃酸から守る「粘膜保護薬」、粘膜の血流を改善し創傷の治りを促進させる「局所血流改善薬」や「粘膜再生促進薬」、粘液の分泌を促し潰瘍面を保護する「粘液分泌促進薬」などがあります。消化性潰瘍の治療には、これらの薬が組み合わされて処方されることもよくあります。
 また、消化性潰瘍との関連性でヘリコバクター・ピロリという菌(ピロリ菌)が注目されています。ピロリ菌が胃に住みついていることが、消化性潰瘍の発症と関連していることが知られるようになり、除菌がおこなわれるようになりました。除菌することで、消化性潰瘍の再発が少なくなることが報告されています。

以上のように、消化性潰瘍には様々な治療薬が用いられ、一般薬として薬局でも購入出来るものもあります。治療薬の選択には個々人の食習慣や生活習慣、他の疾病なども考慮する必要があります。主治医や薬剤師に相談し、自分の体調に合った治療薬を選択しましょう。