鈴の音
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2014年4月号

<薬の工夫>
 「良薬口に苦し忠言耳に逆らう」ということわざがあるように、薬は苦いものが多いものです。この苦い薬を少しでも無理なく服用出来るように、いろいろな工夫がなされています。また、薬には服用した後にも体の中で効果が最大限発揮出来るような構造をしているものもあります。今回は、様々に工夫された薬について紹介しましょう。


<昔の薬は粉だった>
 「匙(さじ)加減」という言葉があるように、昔は粉薬を適量「さじ」に取り、薬を調合したものです。しかし、これでは多くの手間と労力がかかります。その上、匙加減が意味するように成分量や品質を常に一定に保つことは大変難しいと言えます。そこで、薬をカプセルの中に封入したり(カプセル剤)、固い粒にしたり(錠剤)して、現在見られるような様々な薬が出来上がってきました。

<腸で溶ける(腸溶錠)>
 多くの薬は、一緒に服用した水などにより胃の中で溶けて薬効成分が溶出します。しかし、胃の中は胃酸のため強い酸性状態になっています。薬の中には酸で分解されてしまうものや、胃壁に作用して胃を荒らしてしまうものもあります。そこで、胃ではなく小腸に入ってから溶けるように作られた薬があります。有効成分を腸液で溶ける皮膜でコーティングしたり、腸内に入ってから崩壊するカプセルに入れたりします。服用時には噛んだりカプセルを開けたりして服用しないようにしましょう。

<ゆっくり溶ける>
 血圧薬などには、24時間効果が持続することで1日1回の服用で済む薬があります。その中には錠剤自体に工夫がなされているものがあります。錠剤が二重構造になっていたり、不溶性の錠剤の中に無数の小さな部屋が作られていてその中に薬の粒が埋め込まれていたりと、様々な工夫がされています。後者の場合、便の中に錠剤の殻が混ざっていて驚かれる方もいますが、薬効成分は体内で溶け終わっていますのでご安心下さい。腸溶錠と同様に噛んで服用しないようにしましょう。

<口腔内崩壊錠>
 錠剤やカプセル剤が飲み込めない方や水分制限されている方、あるいは就寝前に水を飲むと夜中トイレに行きたくなる等の不安がある方には、水なしで服用出来る薬があります。口腔内の唾液により錠剤が崩壊し薬効成分が体内へ吸収されるように工夫されたものです。錠剤以外にもフィルムシートの形をしたものがあります。すべての薬に口腔内崩壊錠がある訳ではありませんが、錠剤やカプセル剤が飲みづらい方は医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょう。

<貼付薬>
 経口で薬を服用出来ない方には、湿布のように体に貼ることで薬効成分を体内に吸収させる貼付薬があります。嚥下障害のある方や認知症で薬の服用を拒む等、経口薬を使いづらい方には大変便利な投与方法です。現段階では、口腔内崩壊錠よりもさらに種類は少ないのですが、今後多くの貼付薬が開発されて来るものと期待されます。