鈴の音
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2014年6月号

<細菌性食中毒>
 細菌は温度と湿度が上がると繁殖しやすくなります。夏の暑い季節を迎え、細菌による 食中毒に注意が必要です。今回は細菌性食中毒について取り上げます。


<食中毒の原因菌>
食中毒の原因菌には下記のものがあります。
  • 腸管出血性大腸菌(O157):人や動物の腸管内に生息している大腸菌の一種で、ベロ毒素とよばれる毒性の強い毒素を産生します。汚染された生肉等の食品を摂取する事で感染し、潜伏期は3〜8日です。人によっては激しい腹痛や下痢、血便などの症状が出ますが、全く症状の出ない人(無症状病原体保有者)もいて、次の感染の原因になります。ただし、感染は菌で汚染された飲食物を介して起こるので、保菌者との接触による空気感染や接触感染で伝染することはありません。
  • カンピロバクター:家畜などの腸管内に生息し、汚染された食肉(特に鶏肉)を摂取する事で発症します。潜伏期は1〜7日と長く、発熱・倦怠感・頭痛・吐き気・腹痛・下痢・血便などの症状が出ます。
  • サルモネラ:動物の腸管や湖、河川、下水に広く生息し、汚染された生肉や卵を摂取する事で発症します。潜伏期は6〜72時間で、激しい腹痛・下痢・発熱・嘔吐の症状が出ます。
  • 黄色ブドウ球菌:人や動物に常在する菌です。人の手指を介し食品に付着して大量に繁殖すると毒素(エンテロトキシン)を生成し、この毒素が食中毒の原因となります。潜伏期は1〜3時間で、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢の症状が出ます。
  • 腸炎ビブリオ:海(河口部や沿岸部)に生息し、3%前後の食塩を含む食品中でよく増殖します。汚染された魚介類を摂取する事で発症します。潜伏期は8〜24時間で、腹痛・水様下痢・発熱・嘔吐等の症状が出ます。真水や酸に弱いので、魚介類を真水でよく洗うことで食中毒をかなり防ぐことが出来ます。
  • ウェルシュ菌:人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息し、酸素のないところで増殖する菌で芽胞を作ります。菌自体は熱に弱いのですが、芽胞は100℃の温度で6時間の加熱にも耐えます。食物とともに腸管に達した菌は毒素を作り、食中毒を起こします。主な症状は下痢と腹痛で、嘔吐や発熱はあまりみられません。
  • セレウス菌:土壌などの自然界に広く生息し、毒素を生成します。90℃の温度で60分の加熱でも耐える芽胞を作ります。食中毒症状は、嘔吐型と下痢型があります。嘔吐型の潜伏期は30分〜6時間で下痢型は8〜6時間です。
  • ボツリヌス菌:土壌中や河川、動物の腸管など自然界に広く生息しています。酸素のないところで増殖し、熱にきわめて強い芽胞を作ります。毒性の強い神経毒を作り、吐き気や嘔吐、筋力低下、脱力感、便秘、視力障害、呼吸困難等の症状が出ます。潜伏期は8〜36時間です。

<食中毒予防>
厚生労働省は「食中毒予防の3原則」として以下のことを啓発しています。
  1. 細菌を付けない:食材や手指、調理器具をこまめに洗いましょう。
  2. 細菌を増やさない:調理したらすぐに食べ、保存する場合は冷蔵庫に入れましょう。
  3. 細菌をやっつける:生の肉や内臓は新鮮なものでも集団食中毒が発生する危険性があります。細菌は熱に弱く、中心部まで75℃以上で1分間加熱すると死滅します。食材を中心部まで充分に加熱する事で食中毒の予防になります。


食中毒菌の正しい知識を持って、食中毒の予防に心がけましょう。